
ともかく、逆境をうらんだりしちゃいけない。
そして、逆境というのは、上にいる、絶対なる人が自分を試そうとしているんだ、と。
そしたら、オレなんかの場合、「神さま、あなたは、オレが泣き言をいうと思ってるかもしれないけど、その手は食いませんよ」って、それで、「こういう答えを出しますけど、神さま、どうでしょう」って、対話するんだよ。
なんか、あやしい話になってきたんだけど(笑)
でも、代々続いているような家ってね、家訓のなかに必ず「神仏を敬え」っていうのが入っているんだよね。
神仏を敬うって、神にすがって生きろ、ということじゃないんだよ。
どんなに成功しても、この世の中には、絶対、おまえなんかに勝てないものがあるんだ、といってるんだよ。
そうやっていわないと、人間って傲慢になってダメなんだよ。
傲慢にならないために、「絶対なる神」というものがいて、それを「敬え」っていう、ね。
その絶対なる神に「一人ちゃん、今の答えよかったよ」って、いってもらえるような生き方を見せたいと思って、やってるんだよね、オレは。
だから、神さまにお願いするんじゃなくて、神さまが「一人ちゃん、よくやったね」って喜んでくれるような生き方、だな。
そうすると、よく「客観的に自分を見る」っていうよな。
「外から自分を見る」っていういい方があるけど、それって人間目線なんだよ。
だけど、天の神様が喜ぶことって何だろう、っていったとき、人は天の目線でものを見て考えるんだよ。
これが、実にいいんだよ。
いろんな“気づき”をもらえて、おもしろいぐらいに、商売でも何でも、うまくいくの。
不況がこようが、どんな問題が出てこようが、飛行機が空気抵抗で上に上がっていくように、逆境を利用して伸びていけるんだよ。
これが、災い転じて福となす、なんだよ。
いいかい、もう一度いうよ。
天がくれた試練に対して、嘆いたりしちゃダメ。
天をうらまなくても、自分の運命をうらんだりしてもダメ。
天をうらんでるのと同じことだよ。
だから、天をうらむ人は逆境から抜け出せないんだよ。
逆境でつぶれる人の特徴なんだよ。
つぶれない人は、逆境のときに天をうらまない、時をうらまない。
逆境を利用して上に伸びるんだよ。
『斎藤一人 商人道』PHP
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