平澤 興「考えてはうまくいかないが、考えないでやった時の方がうまくいく」

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ガッツポーズ いいため話
画像:01.gatag.net

この間、相撲を見ておりましたら、解説者の誰かがこういうことを言っておりました。

「自分で考えて技を出す時にはまあ半々くらい、失敗をする時が半分、うまくいく時が半分くらいだろう。

何も考えないで自然にやっておる時の技というものは、だいたい百パーセントくらい、だいたいうまくいく。

考えてはうまくいかないが、考えないでやった時の技はうまくいく」

——こういうことを言っておりました。

これは大変に面白いことで、だいたいピアノでもスポーツでもそうでありますが、普段あまり練習をせずにその時だけうまくやろうと思っても、実際はうまくいかないようになっておるのであります。

だいたい人間の運動とか芸とかいうものは、学問的にもそういうふうになっておるのであります。

それを難しい言葉で申しますと、考えてやる運動は「随意運動」でありますが、この難しい運動は、初めはすべて考えて覚えるわけで、覚えるというか考えて覚えるのであります。

それを考えなければできない程度の覚え方ではまだ芸が身についておらんのでありまして、それでは、本当の意味でその芸をこなしたということにはならんわけであります。

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平澤 興 講話選集「生きる力 人間、この不思議なるもの」

平澤 興 著

致知出版社より