若松英輔 上に立つ人の心得

banner02
偉い いいため話
画像:flymee.jp

イギリスの作家チャールズ・ディケンズ(一八一二〜一八七〇)の『クリスマス・キャロル』にはこんな一節がある。

ご主人には、わたしたちを幸福にも不幸にもするだけの力があるんです。

ご主人のやり方しだいで、わたしたちの仕事は、軽くもなり、重荷にもなります。

楽しみにもなれば、苦しみにもなるんです。

ご主人のその力は、言葉とか顔つきといった、一つ一つはささいなことにあるのであって、数え上げて合計を出そうったって、できやしません。

だけど、どうです?

それによって与えられる幸せは、一財産を積んだって買えないくらい大きいんですからね。(脇 明子 訳)

この作品は、金の亡者である主人公が、クリスマスを機に内なる善に目覚め、新生する物語だ。

彼は、すっかり忘れていた、かつての雇い主から受けた温情を想い出し、先のように語ったのだった。

_______

悲しみの秘義

若松英輔 著

ナナロク社より