
競争は確かにしんどい。
だから、ともすれば競争がない状態をつくろうとする。
だが、競争がなくなると、外部からであれ内部からであれ、崩壊がやってくる。
商業というのは、競争が本質です。
競争というのは自由と同義語です。
商業の中にある本質的な自由。
多少行儀が悪くとも個人個人が生き生きしている社会より、とにかく騒ぎがなくて、一見整然としている社会のほうがいいんだと考える、いってみれば停滞主義者には商業は目障りなんです。
この停滞主義者というのは、右翼左翼を問いません。
案外革新とか改革とかをしきりにいうのが停滞主義者だというのは、歴史を見ればよくわかります。
上と下を平準化するのがいいことなのだ、という思想。
これはぜひとも払拭しなければならない。
能力のあるやつはどんどん稼いで、金持ちになれるようにしないといけません。
そうでないと、国全体が活力を失い、やがて天の一角から競争者が現れて、ひとたまりもなくやられてしまうことになる。
敗者の救済は、あくまでも救済の原理でやるべきでしょう。
『渡部昇一 一日一言』
致知出版社
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