
コピー機の前に列ができているとき、頼み方次第で応諾率が変わる、という実験結果があります。
「すみません。急いでいるので5枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」
このときの応諾率は94%。
「すみません。5枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」
このときの応諾率は60%。
つまり、ちゃんと理由を言ったほうが、人は頼み事を受け入れやすいわけです。
これは当然といえば当然ですが、実際は「ので」をつければ、理由が理由になっていなくてもこの効果が成立します。
「すみません。コピーしなければならないので、5枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」
このときの応諾率は93%。
よく考えれば「コピーしなければならない」のは並んでいる人の全員が同じなので、
これは理由を言っていないのと同じことなのですが、本当の理由を言った場合と結果がほぼ同じになっています。
ただし、大きな頼み事では事情が変わります。
コピー5枚程度だと、深く考えずに応諾しているわけです。
これがコピー20枚となるとちょっと違ってきます。
「すみません。急いでいるので20枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」
このときの応諾率は42%。
「すみません。コピーしなければならないので、20枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」
このときの応諾率は24%。
コピー20枚となると、理由になっていない理由を言っても、理由を言わないのと変わりません。
大きな頼み事を聞き入れるとなると、人はもう少し慎重に考えるということです。
もしあなたが上司として、部下に何かを頼むのであれば、とにかく理由は言うべきです。
そして、相手がすんなり引き受けてくれそうなときには、理由になっていなくてもかまわないから「~ので」という“前置き”をつけるべきです。
いずれにせよ相手は引き受けざるを得ない場合でも、そのほうが心理的に受け入れやすいでしょう。
しかし、特に厄介な仕事、急な仕事を引き受けてもらうには、やはりきちんとした理由を告げるべきです。
この場合には、理由を言わなかったり、理由になっていない理由を言ったりするよりも、
はるかに相手にとっての「受け入れやすさ」が違ってくるからです。
引用:一流の人は仕事中に眠くなったらどうするのか?
佐々木 正悟 著
サンマーク出版
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