ハーバードでいちばん人気の国とは!?

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考え方 いいため話
画像:http://www.gatag.net/

ハーバード大学経営大学院のイーサン・バーンスタイン助教授が「テッセイの物語を教材にしたいんだ」

と熱い思いで語ってくれたのは、2014年6月のことだ。

テッセイとは、「JR東日本テクノハートTESSEI」(以下、テッセイ)のこと。

JR東日本が運行する新幹線(東北・上越・山形・秋田)の清掃業務を請け負っている会社である。

あの「新幹線お掃除劇場」で有名になった会社といえば、ご存じの方もいるだろう。

バーンスタイン助教授は、その年の春、テッセイを訪問し、これ以上ないというくらいの感銘を受けた。

日本人のリーダーや従業員の皆さんがやり遂げたことがどれだけすごいことか、熱弁をふるうバーンスタイン助教授をみて、

ハーバードにもこんなに日本企業のことを評価してくれている教授がいるんだ、と感激したのを覚えている。

時をほぼ同じくして、「ハーバードでいま、いちばん人気のある国は日本なんですよ」と現地の日本人留学生から聞いた。

なんでも日本への研修旅行は毎年、100名の予約枠がすぐに埋まってしまうほどの人気ぶりだという。

日本にいると気づかないが、ハーバードで取材をしていると、日本が世界に大きな影響を与えてきた国であることをあらためて実感する。

世界初の先物市場が、日本で生まれたこと、戦後の日本の経済成長が、新興国の希望となってきたこと、

日本のオペレーションシステムが、世界の人々の道徳規範となってきたこと…。

こんな話を教授陣から聞いているうちに、何だか私の心まで熱くなった。

1900年、アメリカで出版された『武士道』(新渡戸稲造著)は、リーダーの道徳規範となり、セオドア・ルーズヴェルトやジョン・F・ケネディに愛読された。

終戦後の1946年、原爆投下後の広島を取材した『ヒロシマ』(ジョン・ハーシー著)は、アメリカでベストセラーになった。

1980年代、ハバードの教員をはじめとする知識人は皆、『ジャパンアズ ナンバーワン』(エズラ・F・ヴォーゲル著)を読んでいた…。

2000年代前半の金融不祥事、2008年の金融危機を経て、いま、欧米の金銭至上主義が限界を迎えているといわれている。

そんな時代だからこそ、日本が世界に教えられることはたくさんあるのではないだろうか。

テッセイの再生物語は授業で教えられるやいなや、大反響を巻き起こしている。

バーンスタイン助教授のもとには学生から「こんなリーダーシップがあるなんて、思いもつかなかった」

「テッセイの話は私の価値観を変えてくれた」といった熱烈なコメントが寄せられている。

日本企業の事例はどれも「お金で人は動かない」「人を大切にせよ」と本質的なことを教えてくれる。

そこが欧米人の学生をハッとさせるのであろう。

引用:ハーバードでいちばん人気の国・日本
佐藤 智恵 著
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