
あるとき、新人セールスの若い男性が松原さんに質問してきた。
何やら悩みを抱えているらしい。
「僕に足りないものは何でしょうか?」
あまりにもストレートな質問であったが、社内の宴席ということもあり、正直に伝える方が彼のためになると思い、こんなふうに答えた。
「あなたに足りないものはね・・・感情よ」
(中略)
「あなたがお客様に接する様子をいつも見させていただいています。
大きな間違いがあるわけではありません。
マニュアル通りにきちんとできていますね。
でも、あなたの口にする『ありがとうございます』からは、気持ちが伝わってこないのです。
そばにいて耳を傾けている私がそう思うくらいですから、お客様はなおさらでしょう。
お客様は、普通の買い物をされているのではありません。
600万、700万、中には1500万円を超える最高級車レクサスを買われる人もいらっしゃいます。
口に出してはおっしゃいませんが、その心のどこかに『高い買い物をしている』という気持ちが秘められているのです。
心底、あふれるような感情を込めて『ありがとうございます』と言わなければ伝わりませんよ」
それには、どうしたらよいのか。
まずは、セールスの仕事をしている者として、「買ってくださり、本当に嬉しい!」という気持ちを込める。
さらに、その喜びを「これからは、私がお客様の車のサポート、いやプロテクトを生涯させていただきます!」という熱い想いを、
「ありがとうございます」という一言に込めることだという。
引用:No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡
志賀内泰弘 著
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