
社会人になってから私は毎週のように自分の尊敬する人を演じて生きていた。
なぜなら成功するためには、成功者を演じなければならないと思っていたからだ。
成功者を演じると言っても、まだ成功したことのない私が成功者を演じることなどできるはずがない。
そこで私が考えたのが、すでに成功した人たちを真似すればいいということだった。
学生時代に膨大な本を読んでおいたおかげで、成功者のサンプルは無限にあった。
今週はAで来週はB、再来週はCで生きてみよう・・・そう考えるだけで毎日が興奮の連続だった。
私が特に意識したのは、「尊敬するあの人がしそうにないことは、自分もしない」ということだった。
尊敬するAなら、こんなことで怒らないぞ。
尊敬するBなら、ここでは諦めないぞ。
尊敬するCなら、こんなアイデアで妥協しないぞ。
そう考えるだけで、やる気は無尽蔵に漲ってきたものだ。
私は一度誰かになり切ると本当に没頭してしまうから、何から何まですべて本人に似せていた。
(中略)
尊敬する人や憧れの人を演じているうちに、次第に本人たちがやってもいないことでも、「きっと本人ならこうするだろう」と自然に先読みできるようになっていた。
人間というのはこれまでに出逢ってきた人たちの混合物である。
これまでに出逢ってきた人たちすべてで、あなたという人間はできている。
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大好きなことで、食べていく方法を教えよう。
千田琢哉 著
海竜社
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