
iPhoneが発表されて2017年の1月9日で10年になった。
21世紀初頭の10年間で生活をもっとも大きく変えたもの、それはスマートフォンだったと思う。
スマートフォンの普及による結果、人はインターネット上に第二の言論・視聴覚空間を作り、住所を持ち、SNSを生み、社会を形作った。
言うなれば人はデジタル空間にもう一度生まれた。
今、常時回線に接続された人々は、この世界を旅し、この星を覆(おお)い尽くそうとしている。
その結果、ありとあらゆる景色や言論が今インターネットの上に集まりつつある。
そういったIOTによる技術革新は私たちの生活習慣と文化を不可逆なほどに変えてしまった。
誰とでも連絡がつき、待ち合わせの場所と時間を厳格に決めずとも人と会うことができ、道に迷うことがなくなり、どこでも時間を潰(つぶ)すためのコンテンツを入手できるようになった。
日々、消費できないほどのコンテンツがインターネットの向こうに蓄積されている。
見ているも、聴いているもの、考えたこと、その日の景色から今いる場所、購入した商品に至るまで、人の様子は瞬時に共有できるようになった。
この地上で、誰もが発信者であり表現者となった。
ヒトが次なる目線、デジタルヒューマンとしての視座を手に入れるのに必要だったものは、明らかにインターネットとオーディオビジュアルで接続できる第二の目と耳であった。
映像の世紀は、コンピュータという、コードで記述された魔術的ブラックボックスによって、そして個人の手の中に握ることのできるサイズで拡張された。
そのダイナミックな変化がわずか10年でなされたのだ。
そしてその変化の速度はあまりに速く、その制御機構はあまりに難解なため、そこにある仕組みを理解するには難しく、一部の修練された人間にしか理解できないということ。
日常にもたらされる奇跡とブラックボックス化の断絶が今後ますます、様々な社会変化をもたらすだろう。
『超AI時代の生存戦略』大和書房
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