
「あの男はやり手や」、「あれは優秀な大学を出て切れ者や」と言ったりしますね。
しかし、「やり手、切れ者」と言われているようでは、三流の経営者なのです。
もちろん、まったく切れない鈍(ドン)ではだめですが、じつは、切れ者でもだめなのです。
これに対して、「仕事もできる、切れる、頭もええ。そして、うちの社長は会ってみても、えも言われぬええ人柄をしている人や」と、言われる人は、エゴ丸出しではないのです。
「あの人はええ人やで」、「ええ人物やで」と言われるような経営者の方は心の状態に美しいものが少しでも出てきている人です。
これがもっといきますと、「あの人は人格者やで、おまえ」と言われると、これはもう利己と利他が50対50ぐらいになっているのです。
エゴは、悪いのではありません。
みんな、自分が善かれかしと思うのはあたりまえのことなのです。
問題なのは、エゴの割合が多すぎることです。
ツーマッチでは害があるのです。エゴを抑え、反省のある人生を送ることを意識すればよいのです。
そして、人格に反映したみなさんの経営に現れてきます。
人格が反映したような経営になっていくのですから、エゴを抑えるということをやりましょう。
そしてエゴを抑えて利他の心が出てくる。つまり心が高まる。人間がよくなる。人格者といわれるようなレベルになってくる。
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心と生き方
稲盛和夫 述
京セラコミュニケーションシステム 編
PHP研究所
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