
部下のことを思いやって、厳しすぎないようにしている、という管理職がときどきいますが、それはたいていの場合、ただのいい訳です。
ほんとうは、自分が恨みを買いたくないからにすぎません。
それどころか、自分に厳しい自分自身の上司を恨みに思い、暗に批判していることもあります(たいてい、そうです)
ほんとうに優しい上司は部下に厳しい。
そして、厳しいリーダーは、一時期は嫌われることがあるかもしれませんが、長期的に好かれている人が多いと思います。
なぜなら、厳しいリーダーのほうが結果を出し、最終的には、みなを幸せにするからです。
結果がでなければ、結局、部下にムダな努力をさせることになり、やる気をなくさせてしまいます。
部下の実力も上がりません。
転勤するときや退職するときに「あるときは、厳しいことを言われて嫌でしたが、いまは大変感謝しています」と部下から言われるのが上司冥利に尽きるというものではないでしょうか。
ただし、上司の「優しさ」は「甘さ」とは違います。
「甘さ」とは単なるその場しのぎです。
「こんなことを言うと、この人がかわいそう」だとか、「ここまで言うと、恨まれるのではないか」と考えるのが「甘さ」
「優しさ」は違います。
リーダーが持つべき優しさとは、中長期的にみなを幸せにすることですから、ときには厳しいことも言わなければなりません。
「優しさ」というコインがあるとすれば、その裏側は「厳しさ」なのです。
一方、「甘さ」というコインでは、その裏側は「冷酷」です。
甘いことばかり言っていると、そのうちに組織全体をおかしくしてしまい、関わる人すべてを不幸にするから「冷酷」だというのです。
さて厳しいことを言うには勇気がいります。
ではその勇気やエネルギーはどこからでてくるのでしょうか?
わたしは、それは「信念」から生まれると思っています。
信念があれば、言わなければならないことです。
組織を強く、よりよくして社会に貢献し、働く仲間を幸せにしようという信念があれば、エネルギーも湧いてくるというものです。
信念こそが、勇気やエネルギーの源なのです。
それを「自分のいる数年間だけ、うまくこの場がしのげばよい」くらいの気持ちだと、言わなければならないことも言わずに、なあなあにして、結局、組織をダメにしてしまうのです。
引用:社長力養成講座
小宮一慶 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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