
2006年6月某日の新聞各紙に「時給600円のパート主婦から東証一部企業の社長へ」という見出しが躍った。
その主が橋本真由美ブックオフ前社長である。
橋本は41歳の時、子どもの学費の足しになればと、神奈川県相模原市にオープンしたブックオフ1号店の創業スタッフに応募した。1991年のことだった。
採用されて顔合わせをしてみれば、創業社長の坂本孝を含め、誰一人古本屋の経験がない。
古本屋は在庫が命にもかかわらず、「古本高値買取します」と地域に大量のチラシを蒔いても反応がない。
橋本は上から目線ではなく「読み終わった本をお売り下さい」とコピーの変更を提案。それから、本がどんどん集まりはじめた。
橋本は働きはじめる前は、子どもの送り迎えがあるから午後4時には帰宅したいとか、土日は働けないなどと言っていたが、いつの間にか仕事の面白さにのめり込んでいった。
この商品は夕方までに店頭に並べておけば、確実に何万円かの売り上げ増が見込めるとなると、陳列するまで帰れない気持ちになる。
ある日、橋本は社長に、「社員になります」と自ら申し入れた。
夫から「おれとブックオフのどっちが大事なんだ⁉」となじられ、「ブックオフです」と答えるひと幕もあったという。
上昇志向は全くなかったが、その努力の果実が社長の椅子だった。
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すぐやる人の“超えてる”思考法
藤沢久美 監修
三笠書房
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