
被験者である神学部の学生たちに、講堂で新約聖書のたとえ話「善きサマリア人」をスピーチするため大学構内を移動してもらいます。
講堂の入り口でうずくまる、みすぼらしい服装の男性が仕掛人です。男は被験者が通りかかるたびに、うめき声をあげ、苦しそうに咳をします。
※「善きサマリア人」とはこんな話
・旅人が追いはぎに襲われ、怪我をしてうずくまっていた。
・祭司が通りかかるが、無視して通り過ぎた。
・助けてくれた人がいた。それはユダヤ人の敵であるサマリア人だった。
Aチームの学生は・・・
講堂に移動する前に「まだ時間の余裕がある」といわれる。
Bチームの学生は・・・
講堂に移動する前に「遅れているから急げ」といわれる。
【結果】
苦しんでいる男に手を貸そうとした被験者はAチーム63%、Bチーム10%だった。
・・・つまり時間不足は人の信念を失わせる。
「忙しい」ことを自覚していると、思いやりが欠如していきます。
自己中心的になっていることも当然のように思えてきます。
周囲の役に立とうと予定を詰め込んだはずなのに、なぜ自分ばっかりという被害者意識がにじみ出て、周囲の人たちと衝突したり、すれ違いが起きたりします。
時間の使い方は人生そのものです。
同じ1時間という時間の中でも、たくさんのことをする人と、少しのことだけをする人がいます。
一度にたくさんのことをする人は「仕事が早い」「仕事ができる」などと賞賛されやすいものですが、実際は予定の数が多いほど、一つひとつの予定に対して「なんのためにそれをするのか」が不鮮明になっています。
充実した1日を送るためには、「その予定」のことだけに集中できるように、予定と予定の間に空白の時間を持たせる必要があるでしょう。
意識の問題なのです。次、次、次と先のことばかり考えていると、時間の質が下がります。
時間の質を高めるには「今」に意識を向けることがとても大切なのです。
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図解 モチベーション大百科
池田貴将 著
サンクチュアリ出版
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