一人の終身刑犯がいた

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囚人 いいため話
画像:http://publicdomainq.net/

アルカトラズ(※)に、一人の終身刑犯がいた。

すべての世界が彼からは遮断されていた。

空虚で暗澹とした日が1日1日と過ぎていき、

彼は空をとぶ鳥の群れを窓越しに眺めるばかりだった。

ある朝、一羽のケガをした雀がたまたま独房に入ってきた。

彼は、その鳥を看病して元気にしてやった。

彼にとってそれは、単なる一羽の雀ではなく、

特別な存在になった。

他の囚人、看守、訪問者も彼のところへ鳥を持ってくるようになり、

彼はしだいに鳥について多くのことを知るようになった。

やがて独房のなかに本格的な飼育場がおかれ、

彼はますます専門的な知識と技術を深めていき、

ついには鳥類の病気に関する著名な権威となった。

こういった研究を彼はまったく独学でしたのである。

独房のなかで40年余りの歳月をぼんやりと虚しく送る代わりに、

アルカトラズの鳥類学者は、

退屈というものが、自由と同じように、

心の持ち方しだいであることを発見した。

なにかしら新しく学ぶものがかならず存在しているのだ。

彼は、絶対的な地獄ともなりえた環境を、

少なくとも魅力的な煉獄に変えたのである。

※アルカトラズ
(サンフランシスコの小島。かつて連邦刑務所があった)

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出典

[心はマインド…]

エレン ランガー 著

フォー ユー より