
吃音症の事務員が、どういうわけか人事異動で外交員の仕事に回された。
自分はセールスマンの仕事はできないということで、彼は会社を辞めようと思った。
ところが先輩に、
「おまえは喋るのが苦手でも、聞くことはできるだろう。
ひとつ、人の話を真剣に聞いてみろ。
だって、会話というものは、話すと聞くが半分ずつなんだ。
おまえはその半分はできるじゃないか。
それでだめなら、そのときに会社に辞表を出せばいい」
と忠告されて、それで彼は外交の仕事をします。
そうすると、すぐに、「あの人は話のうまい人だ」という評判になり、売り上げ成績も伸びたそうです。
吃音を欠点だと見て、それを矯正するやり方もある。
普通、人はそうします。
でも、欠点は個性なんです。
だから吃音という個性を活かせばいいのです。
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「善人」のやめ方
ひろさちや 著
角川書店
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