
《相手の剣の届くところに身を置かねば、自分の剣もまた届かない》(影法師・講談社文庫)
『影法師』に登場する剣術の道場主の言葉である。
誰だって真剣で戦うときは、傷を負わずに勝ちたいと思うだろう。
しかし敵の剣が届かないところで、いくら剣を振り回しても、相手を斬ることはできない。
相手を斬ろうと思えば、敵の剣の間合いに自ら入らなければならない。
これはあらゆる勝負に言えることではないかと思う。
株でも競馬でも大きく勝とうと思えば、大きく張らないといけない。
ビジネスも同様。
人と同じことをやっていては、大きな失敗もしない代わりに、大成功もない。
結局、自分が傷つくおそれが一つもない状況では、所詮、大きな勝利を得ることはできないということだ。
これはビジネスや金儲けに限らない。
人間関係や恋愛においても同じである。
相手の懐に深く飛び込んでこそ、本物の人間関係が築かれるし、恋も成就する。
嫌われることを恐れてばかりいて、大事な一歩を踏み込めずにいては、何も生まれない。
『百田百言』幻冬舎
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