
たしかに、日本全体の経済は縮小しています。
人口は減り始めていますし、少子高齢化は急速に進んでいます。
多くの企業は活路を求めて海外に進出し、国内に留まる企業も生き残りに必死です。
そして、このような傾向は、都市部より地方のほうがはるかに強いでしょう。
都市部はまだ人口も多く、若者の消費も活発ですが、地方ではシャッター商店街や、かつて賑わっていた百貨店が閉店してしまっているような光景をよく目にします。
私も、はじめ地方に対して、そのような暗くて後ろ向きなイメージを持っていました。
ところが、実際に全国各地を回りますと、地方の暗いイメージとは正反対の人たちがたくさんいることに気付いたのです。
例えば、地方に根を張ったビジネスで大きく儲けている人。
地方で多くの事業を積極的に起こす人。
地方経済は確かにシュリンクしているのに、成功している人たちがたくさんいることを知ったのです。
地方の成功者に共通するのは、「リスクテイカー」だということが分かってきました。
縮小する地方の中でリスクをとるなんて、馬鹿げていると思われるでしょう。
しかし、彼らは、逆に考えています。
地方だからこそ、リスクをとれば勝てる。
守りに入るのではなく、攻めの姿勢で事業を拡げていけば儲かると思っているのです。
実際、そのやり方で、彼らは成功を収めています。
私は、このように地方で貪欲にビジネスを広げている経営者たちを「ヤンキーの虎」と名付けました。
なぜ「虎」なのかと言いますと、ビジネスに関して言えば、彼らの多くが、まさに「虎」のように自分から積極的に動いてリスクをとる肉食系だからです。
私は、ヤンキーの虎のようなリスクテイカーが、地方経済を立て直す一つの大きな可能性になるのではないかと考えています。
彼らは、事業を拡大するために積極的にお金を借りてガンガン儲け、地域の自治体に多くの税金を納めています。
それゆえ、すでに地方経済を回す重要な存在になりつつあるからです。
その傾向は、今後ますます加速しますし、彼らの存在感は一層強まっていくと思います。
「ヤンキーの虎」とは、ひと言で言いますと、次のような人や企業のことです。
「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入してる企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」
彼らが最も好むのは、「シンプルで、でっかく儲けられそうなもの」。
それほど複雑なビジネスモデルではありません。
とにかく儲けられそうだと思ったら、すぐに始める瞬発力と柔軟さを持っているのです。
ですから、ヤンキーの虎たちは、驚くほど様々なビジネスを展開しています。
例えば、パチンコや、ウェディングビジネス、携帯電話のショップ。
保有している裏山を改造してサバイバルゲームフィールドを作って集客する経営者もいました。
事業に一貫性はありませんが、多角的に儲けています。
そこで働いているのがマイルドヤンキーであり、彼らを束ねているのがヤンキーの虎です。
『ヤンキーの虎』東洋経済新報社
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