
保護者と面談して悩みごとを聞いていると、私の言う「やり抜く力」の意味を正しく理解しておられないのではないか、と感じることがある。
「やり抜く力の半分は、粘り強さです」と説明すると、保護者たちはうなずく。
ところが、「でも誰だって、自分が本当に面白いと思っていることでなければ、辛抱強く努力を続けることはできません」と言うと、保護者はうなずくのをやめたり、首をかしげたりする。
自称「タイガー・マザー」のエイミー・チュアもこう言っている。
「ただ好きだからといって、上達できるとは限らない。
努力をしない限り、上達するはずがないのだ。
だから多くの人は、好きなことをやっていても全然うまくならない」
私も本当にそう思う。
自分の興味があることを掘り下げるにしても、練習に励み、研究を怠らず、つねに学ぶなど、やるべきことは山ほどある。
だからこそ言っておきたいのは、好きでもないことは、なおさらうまくなれるはずがないということだ。
保護者や、これから親になる人や、年齢を問わず親以外の人たちにも、伝えたいことがある。
それは、「必死に努力する以前に、まずは楽しむことが大事」ということだ。
打ち込みたいものが見つからず、毎日何時間も努力をする覚悟ができていないうちは、興味を持ったことをひたすら楽しんで、どんどん興味が湧くようにしたほうがよい。
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GRIT やり抜く力
アンジェラ・ダックワース 著
神崎朗子 訳
ダイヤモンド社より
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