
聖書には、天国はブドウ畑のようなものがある、という話があります。神をブドウ畑の主人になぞらえています。
あるとき、ブドウ畑の主人は、朝の六時ごろ市場に行って、労働者を雇います。
一デナリの日当で働かないかといって人を集めました。一デナリは一万円ぐらいでしょうか。
次に九時ごろ行って、人を雇います。
次に十二時ごろ行って、まだあぶれている者がいたので、その者を雇います。
それから五時ごろ市場に行くと、まだあぶれている者がいて、その者も雇います。
そして、仕事が終わった六時になると、一人ひとりに、約束の日当の一デナリを支払いました。
最後に来て五時から一時間しか働かない者にも、他の者と等しく一デナリを支払いました。
最初から働いていた者はもっともらえるかと思っていましたが、一デナリしかもらえなかったので、「朝六時から十二時間働いているのに、同じじゃおかしい」と文句を言います。
しかし、ブドウ畑の主人は、「あなたとの契約は一デナリであった。その約束は守った。それなら、他の者にいくらやろうと自由じゃないか。それともおまえは妬ましく思っているのか」と言います。
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わたしの「南無阿弥陀仏」
ひろさちや 著
佼成出版社より
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