
私は今、75歳になりました。
同窓会などで同じ歳の人たちに「俺たちは元とったよな」と言う。
「元とったってどういう意味だ?」と、一部の人はその言葉の意味がわからない。
3分の1くらいは同調する。
これが知足です。
わからない人は言います。
「俺はまだ100歳まで生きないといけない」と。
もっともっと長く生きて、年金をもらわなくては、などと使命感に燃える人はダメ。
幸せではありません。
いつでも元をとったと思えばいいのです。
天台宗の有名なお座主(ざす)さんがいらっしゃった。
比叡山で夏の講座があり、私も呼ばれてお話をしたことがあります。
当時、確か猊下(げいか)は98歳でした。
「自分は、108歳まで生きたい。108まで生きると天海僧正と同じまで生きることになるし、21世紀にも突入する。
私、19世紀の生まれですから、ホップ・ステップ・ジャンプで21世紀まで生きたんだ」
そうおっしゃった。
欲のない猊下でとてもよくしていただいた方だったので、少し驚きました。
98歳まで生きると、「次は108まで」生きようとがんばってしまうのかな、と。
人間というものは、歳とったらダメだなぁと思います。
歳取ったら、欲は小さくなるかもしれないけれど、少なくはならない。
欲の数はどうんどん増えていきます。
欲というものがもともと持っている性質なのでしょう。
一つ達成されると、次、次、と増えていきます。
『人生はあきらめるとうまくいく』幻冬舎
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