
人生とは自分自身が主役を演ずるドラマです。
しかし実生活のドラマでは、単に演ずる以上のことをしなければなりません。
自分自身で脚本を書くのです。
始めから結末がわかっているドラマと違い、どういうドラマを描くかは、私たち次第なのです。
運命は生まれた時から決まっていると言う人もいますが、私はそういう考えに賛成できません。
自分の心や考え方を高めていくことによって、運命をも変えることができると私は信じています。
「運命」に抗するというのではなく、自分が演じたいと思う主役のための脚本を書けるように、心と精神を鍛えてゆくべきなのです。
それを少しでも早い時期に実行すれば、それだけ早く自分の人生をコントロールし、日々の一瞬一瞬を真摯(しんし)に生きていくことができるのです。
そのきっかけは、人生の節々に数多くあるはずです。
ですからそれを求めて必死に努力していれば、チャンスを掴むことができるのです。
しかし、人生の明確な使命や目的というものを持っていなければ、どんなにはっきりした、素晴らしいチャンスさえも見逃してしまうでしょう。
人生というドラマにおいては、自分を主役にして脚本を書いた人と、目的意識もなく惰性で生きた人とでは、たいへんな違いができるのです。
また、時代がどう変わろうとも、人間の本質は変わらないのです。
誰しも人間は人生で善きことを追求し、後世に何か価値あるものを残すことによって、「永遠性」を達成したいのです。
「仕事に打ち込んで、世の中の役に立つことができました。私は幸せです」と言えるような満ち足りた人生を送ることを誰もが望んでいるのです。
中には、この考え方に同意しない人がいるかもしれませんが、私は、この真剣な生き方のほうが安易な生き方よりも良いと、心から信じています。
おそらく人生経験を積んだ人たちには、私の言うことがわかってもらえるでしょう。
しかし残念ながら、そういう年輩の人たちは自分自身の人生観を若者と分かち合うことをためらうことが多いのです。
時代が変わったのだから若い人たちには古い話は無意味だろうとあきらめがちですが、心を込めて話せば、ほとんどの人たちがその意味をわかってくれると私は信じています。
『成功への情熱』PHP文庫
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