
昔、インダス川のほとりに、ひとりの年老いたペルシャ人老人が住んでいました。
名前をアリ・ラフェッドと言います。
アリはとても広い農場を持っていて、美しい妻にかわいい子どもと、なに不自由ない暮らしをしていました。
ある日、ひとりの僧侶がやってきて、世界の生い立ちについてアリに話ます。
その話の中でダイヤモンドの事について触れます。
「親指ほどの大きさのダイヤモンドがひとつあれば、
おまえが持っている農場の何倍も広い土地が手に入る。
ひとつかみのダイヤモンドがあれば、国を買いとることができる。
ダイヤモンドの鉱山がひとつあれば、その富の力で子孫を主座につかせることができる」
アリはこの話を聞いて、ダイヤモンドの鉱山を手に入れたいと思ったのです。
どこに行けばダイヤモンドの鉱山があるのかと言う問いに、
高い山に挟まれた、白い砂の上を流れる川に行けば見つかると僧侶は答えます。
次の日アリは、広い農場などの財産をすべて処分し、家族を親戚に預け、ダイヤモンド探しに行ったのです。
しかし、ダイヤモンドの鉱山はそんなにたやすく見つける事ができず、
莫大な資金も次第に底を付き、アリは見知らぬ異国の果てで力尽きるのです。
ある日、アリの牧場を買った男が、ラクダに水を飲ませようと庭園に入ったところ、
小川の白い砂の中から奇妙な光が出ていることに気が付きました。
その石は七色の輝きをはなっていたそうです。
そうです。
それは紛れも無くダイヤモンドの原石だったのです。
かつて、アリ・ハフェッドのものだった庭園から、見事なダイヤモンドが見つかったのでした。
「ダイヤモンドを探せ」ラッセル・コンウェル 著 / 岸本 紀子 訳 / ディスカヴァー・トゥエンティワン
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