みうら じゅん 「ない仕事」の作り方

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みうら じゅん いいため話
画像:http://s.eximg.jp/

私の仕事をざっくり説明すると、ジャンルとして成立していないものや大きな分類はあるけれど、

まだ区分けされていないものに目をつけて、ひとひねりして新しい名前をつけて、いろいろ仕掛けて、世の中に届けることです。

ここ数年ブームが続いている「ゆるキャラ」も、私が名づけてカテゴリー分けをするまでは、そもそも「ない」ものでした。

元々は、各地方自治体や団体が独自に作っていた単なる「着ぐるみ」だったものが「ゆるキャラ」となった今、もう私の手など及ばないほどの一大産業となりました。

このように「ない仕事」を作っていこうと意識し始めたきっかけは、「マイブーム」という言葉でした。

これも私の造語で、1997年の「新語・流行語大賞」受賞語となったものであり、2008年に改訂された『広辞苑』(第六版)にも掲載されています。

それまで私は、自分が「これは面白!」と思ったものやことがらに目をつけ、原稿を書いたり、発言したりしてきましたが、世の中の話題にならないことのほうが多かったことは確かです。

そこで、「だったら流行るかどうかをただ待つのではなく、こちらから仕掛けていこう」という発想に至りました。

私(みうら自身)の流行を、世の中に広めていく。

本来、これが「マイブーム」の本当の意味だったのです。

私は何でもかんでも流行らそうとしているわけではありません。

私が「仕掛け」をするのは、本当に好きになったものだけなのです。

そして、その“本当に好きで、まだ皆が知らない面白いこと”を世界に届けたい。

そのためには「ブーム」を起こすことが必要なんです。

ブームにならないと、誰も見てくれませんから。

「マイブーム」を広げるために行っている戦略を、私は「一人電通」と呼んでいます。

電通とは日本を代表する広告代理店ですが、そこで行われていることを、全部一人でやってしまおうという意味です
(ちなみに、博報堂の方とお話する際は、「一人博報堂」に変更します)。

ネタを考えるのも自分。

ネーミングするのも自分。

デザインや見せ方を考えるのも自分。

雑誌やテレビやイベントなどで、それを発表するのも自分。

さらに、そのために編集者やイベンターを「接待」し、なるべくネタがよく見えるように、多くの人の目に触れるようにしていくのも自分。

クリエイティブだけでなく、戦略も営業もすべて一人で行うわけです。

引用:「ない仕事」の作り方
みうら じゅん 著
文芸春秋