
オリンピックの前、北島選手は、試合の後半、特にゴール前でスピードが落ちることに悩んでいました。
彼はその原因をスタミナが不足しているからだと考えていました。
しかし、彼の練習を見た林先生は、そのようには考えませんでした。
「北島選手のスピードが落ちてしまうのは、彼がゴールを強く意識してしまうために、無意識に、体の機能が弱まってしまうことが原因だ」と考えました。
林先生によると、脳には達成を意識した途端に、すでに達成したというように考えて力を弱めてしまう性質があるそうです。
そこで、林先生は、北島選手にゴールよりも先に、本当のゴールがあると脳に認識させることができるようになる練習をおこなってもらいました。
北島選手がタッチする壁をゴールと思うのを防ぐために、
壁をタッチして、振り返って掲示板を見るところまでをゴールと考えて、
掲示板を見るところまでを全力でおこなう練習を繰り返したのです。
このように考えられれば、壁がゴールではなくなるので、力が弱くなることはなくなります。
その結果、北島選手は見事に金メダルを獲得することができました。
引用:「上達のコツ」
中山和義 著
きずな出版
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