尾木ママの7つの人生力

尾木ママ いいため話
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言葉については、日常、人付き合い上のいわゆる「言葉づかい」もよく問題になります。

日本語には、敬語や丁寧語、謙譲語、挨拶といった言葉の文化があり、人間関係を円滑にするわきまえとして大事にされてきました。

しかしそうした「言葉づかい」は、単なる礼儀として捉えられていることも多いようで、私は、これは大変もったいないことだと思っているのです。

「言葉づかい」には、形式的な礼儀を超えて、その人の人格が表現されてるという重要な側面があります。

たとえば、私が今までお会いした各界で大活躍している方たちは、みなさん、言葉づかいがとても丁寧でした。

平たく言えば、すごい人ほど、いばったり人を見下したりする言葉づかいはしないのです。

礼儀正しくて、謙虚で投げやりでない丁寧な言葉づかいをされるのです。

これまで何度もお仕事をご一緒させていただいたり、音楽会や舞台にもお邪魔させていただいている美輪明宏さんなど、こちらが恐縮してしまうほど、実に丁寧な言葉づかいをされます。

NHKの朝のテレビ小説「花子とアン」で、語り手をされていましたが、あの心のこもった、言葉に命が吹き込まれたような語りと、流行語にまでなった別れの言葉「ごきげんよう」に魅了された人も多かったのではないでしょうか。

対談の折には、美輪さんは日頃から「美しい言葉」にとてもこだわっているともうかがいました。

美輪さんに限らず優れた方々の多くは、絶えざる研鑽(けんさん)とさまざまな苦労をくぐり抜けておられ、人格的にも磨かれているので、丁寧な言葉づかいをされるようになったのでしょうか。

それとも、人間関係を大切にし、丁寧な言葉づかいをしようと常々心がけてきたから、優れた人格が磨かれたのでしょうか。

きっと、両方の側面があったのでしょうね。

丁寧な言葉には、何と言っても相手のことを慮(おもんばか)りたいという気持ちが表れます。

そして相手の目を見て「わかってくれたかな」と、共感を求めるのです。

それは、自分の言いたいことを一方的にアナウンスするだけでできることではありません。

相手の変化に応じて自分の言葉を選んだり、あるいは、イントネーションを変えたり強調したりなどする中で、相手への共感力は鍛えられていくのです。

これも、自分の意識次第で鍛えることができるんですね。

そうすることで、その言葉にふさわしい人格がしだいに磨かれていくように思います。

「言葉づかい」と「人格形成」の相乗効果…。

それこそ望ましい「言葉の力」ではないでしょうか。

引用:尾木ママ(尾木直樹)著
『尾木ママの7つの人生力』海竜社