
ほとんどの人は、「損して得取れ」の意味を履き違えています。
たとえ損をしても、お客さんを集めればいいんだ、と思っている人がいるけれど、
商人が損をしていたら、大手でもない限り、つぶれちゃうよ。
「損して得取れ」は、そういう意味じゃないの。
「おばあちゃん、どう、元気にしてる?」
これ、自分の労力だけで、一円もかかりません。これを黙々とやるのです。
おみそ汁なんか作ってたって、そんなにお金がかからない。
それを黙々と、遊びに来てくれた人に出すの。
商人の「損して得取れ」というのは、これなんです。
本当の商人は、「仕事を取りに行く」ではなく、「断られに行く」のが仕事なんだ。
そう思いながら、「鈴木さん、今日はどうですか?」って。
「100回も断られればいいんだ」というつもりで、断られるたび、
その都度、その都度、あなたの店のいいイメージをお客さんに印象づけているのです。
だから、感じよく断られることなんです。
断られたときが勝負です。
ニコッと笑顔で、
「じゃあ、また何かあったら、よろしくお願いします」と、感じよくいえばいいのです。
そうすると、お客さんは「斎藤さん、感じいいわ~」と思いつつ、
断って、断って、何回も断っていると、洗濯ものが出たときに、「よそへ持って行こう」という人はすごい少ないのです。
こういうことがわかるのも眼力です。
仕事をいっぱいとってくる、ではなく、どんどん、どんどん断られながら、
ずーっと耕して、耕していくと、そこに根が張っていき、“いいお得意様”になる、ということをわかることが眼力。
遊びに来た人にタダでおみそ汁を出したり、おしんこ出したり、
「おばあちゃん、どう、元気?またウチに遊びに来てよ」
とか声をかけに行くのも、同じです。
ただ、こういうことは、愛がないとできないんですよね。
そうじゃないと、お客さんは「安いところ、安いところ」って、探すんです。
すると、回りまわって、全員が苦しくなっちゃう。
だから、お互い、愛で勝負したほうがいいよね、って、私は思うんです。
「そこまで計算して、商売してるんですか?」
って、計算じゃ、できません。
なんだかんだいってもね、愛がなきゃ、商売はできないのです。
引用:「眼力」
斎藤一人 著
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