
夢を持て、でかければでかいほどいい。
とにかく夢を持て。私は、事あるごとに何度もそう述べている。
大風呂敷を広げておさまりがつかなくなってみろ、やらざるを得なくなるではないか。
夢を持てば燃えられる。
燃えられればどん底にも耐えられる。変にひねくれることもない。
どん底に耐えられれば、裸になることができる。
私は新日本プロレスを旗揚げした時、一軒、一軒、キップを売って歩いた。
理想のプロレスをつくり上げるために、なりふり構わず頭を下げた。
十年近くたっても、私はそれをやった。
浅草の街頭に立って売り歩き、それでもキップが残ったので一軒、一軒まわった。
なぜなら、ほかならぬ自分へのチャレンジだったからだ。
俺たちは、生まれながらに偉いのではない。
全力でぶつかり、失敗し、それでも立ち上がって、また失敗し、やっと何かをつかんだかと思ったら、虚しくも朝の露。
しかし、まだまだくたばらない。
俺には欲があるんだ、夢があるんだと向かっていく。
そうして、ちっぽけながらも、自分だけができる何かをつかんできた。
引用:猪木詩集「馬鹿になれ」 (角川文庫)
アントニオ猪木 著
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