
批判の対象になりやすいタイプが二つある。
1つは「人の上に立つ人」、もう1つは「社会に変化をもたらす人」である。
アリストテレスはこんな言葉を残している。
「批判はその気になれば容易に避けられる。
何も言わず、何もせず、何者にもならないことだ」
部下を持ったり、責任のある地位についたりしたら、「批判はつきもの」だと思ったほうがいい。
集団から抜け出せば、当然、注目が集まり、やっかむ者が必ず出てくる。
ある程度の批判は避けられないと肝に銘じることだ。
つまり、「出る杭は打たれる」ことを覚悟しなければならないのである。
「社会に変化をもらたそうとする人」も、批判の対象になりやすい。
彼らは世の中にプラスの変化をもたらす場合が多いが、人々は新奇なものや変革を嫌う傾向があるため、批判されるのである。
アメリカで南北戦争が起こる以前に、イギリスで奴隷解放に尽力したウィリアム・ウィルバーフォースという人がいる。
彼は、奴隷商人など、奴隷制の恩恵を受けていた既得権益者から、さまざまな誹謗(ひぼう)中傷を受けた。
彼が妻に暴力をふるっているという噂も流されたりして、人格や品性を20年にわたって攻撃されたが、それでも彼は意志を貫いた。
また、リンカーンはおそらく、アメリカで最も愛された大統領と言っていいだろう。
その一方で、最も批判された大統領でもあった。
「人民の、人民による、人民のための政治」という一節でアメリカ史に特別な位置を占めるゲティスバーグ演説の翌日、『シカゴ・タイムズ』はこんな批判を展開している。
「海外の有識者にアメリカ大統領として知られている人物の口から、あのように単調でくだらない言葉が出てきたことに、国民全員が恥じ入ったのではないか」
だが、この批判が間違っていたことは、歴史が証明している。
引用:ジョン・C・マクスウェル 著
「人を動かす人」になるために知っておくべきこと
三笠書房
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