広岡達郎「バカになりきれる人が成功する!」

いいため話 カップル
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私の学生時代の数学の先生は、数学を人生になぞらえて、われわれに生き方の指針を与えてくれた。

「いいかキミたち、社会に出ても決して早く出世(成功)しようと思うなよ。

あまり早く望みがかなってしまうと、人間駄目になってしまうことがある。

方程式のように、ひとつひとつ段階を踏んでいけ。

若いうちの成功というのは、数学でいえば虎の巻(参考書)を見て答えだけを書いたようなものだ。

式そっちのけだ。

式のない答えなどはまったく数学にならないように、過程のない成功は本当の成功ではない。

実体のないニセモノの成功だ。

人生もこれとまったく同じだ。

親に頼ったり、安易な道を選べば(苦しいことを避けて通れば)あるいは案外早く望みをかなえることができるかも知れない。

だが、それでは実力が伴わないから、逆境(難問)に出くわす度にうろたえることになる。

数学が答えよりも式が重要なように、人生も結果ではなくてその過程(基礎工事)が大事なのだ。

過程さえしっかりしていれば、自ずと結果はついてくるのだ…」

また、こんなこともある。

野球評論家の広岡達郎氏は、西武ライオンズの監督時代、選手に基本ばかりやらせて、あまり技術的なことは教えなかったという。

基礎を知らないうちに目先のプレーに走ると、結局は技術が身につかず駄目になるということを悟っていたからだが、ある選手はその時のことを次のように語る。

「毎日、毎日、素振りばかりを1日に何百回とやらされましたよ。

私思いましたよ。

監督はちょっと頭がおかしいんじゃないか…ってね。

だってそうでしょ。

私は昨日や今日入団した新人じゃないんですからね。

基本、基本ってバカじゃあるまいし…。

ところが、ところがですよ。

ある日驚くべきことが起こったんです。

1日500回以上の素振りを1年続けた時、それまで見えなかった球がはっきり見えるようになったんですよ…」

新人ならともかく、ベテランの選手が1日に500回以上もの素振りなど、バカらしくてとてもできるものではない。

ところがこの選手はそれをバカになってやった。

その損体験が彼を押し上げてくれたのだ。

人生もしかりだ。

物事を目先の損得で考えないで、バカになってまわり道した時、その損体験によってそれまで見えなかったものが見えてくるのだ。

引用:『バカになりきれる人が成功する!』KKロングセラーズ