
タッチストーンとは、単なる金属を純金に変えることができる小石です。
それは、黒海の岸辺で、何万という同じような小石の中に埋もれていると書いてありました。
そして、その秘密とはこうです。
普通の小石は冷たいのですが、その石だけは温かいというのです。
男は少ない持ち物を売り払い、必要最小限の物だけを手に入れ、岸辺に野宿しました。
そして小石のチェックを始めました。
彼は、同じ石を何度も拾うことを避けるために、冷たい石は海に投げることにしました。
彼はこの作業を一日中行いましたが、どれもタッチストーンではありませんでした。
一週間過ぎ、一ヶ月過ぎ、一年過ぎ、そして三年が過ぎましたがタッチストーンは見つかりません。
しかし、彼は同じ作業を続けました。
小石を拾い、冷たいので海に投げる。
その繰り返しです。
とうとうある朝、彼は温かい小石を拾いました。
しかし、
それを海に放り投げてしまったのです。
いつの間にか、彼は石を海に投げる「習慣」を身につけてしまっていました。
石を海に投げるのが習慣になっていたので、探していたものを手に入れたにも関わらず、それを投げ捨ててしまったのです。
引用:「人生を変える力」
マーティン・コー 著
徳永 英明 訳
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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