
あるとき、小出監督のもとに「監督はみんなを平等に指導してくれない」と訴えに行った選手がいたとか。
監督はこう言ったそうです。
「えこひいき?そんなの当たり前だよ。
みんなもう学生じゃないんだからね」
実業団の陸上の世界は、寮に入ったり生活時間帯が制約されたりして、ある意味学生の延長線上にあるような管理をされた毎日です。
「どんな職場でも、社会人というのは自分のことを見てもらえるように努力をするものだよ。
努力しなければ、見てはもらえない。
こっちが指導したいなと思うような選手になりなさい。
鐘だってそうだ。
打って響かなければ、もう鳴らしたくなってしまう。
打ったら響く、そういう人にならなくてはいけないよ。
そうでなかったら、俺だってえこひいきするよ。
社会人なんだから」
小出監督のその言葉は、私にとって本当に革命的な言葉でした。
みんな平等、そんな学生時代の当たり前の気持ちから社会人に一歩踏み出した、そして、社会人の厳しさを教わった言葉だったのです。
引用:高橋尚子 著
『笑顔で生きる魔法の言葉』角川書店
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