
ある冬、ボクが親父とテレビを観ててトイレに行きたくなって立ち上がった時の事です。
親父が「立ったついでにお茶を入れてくれ」って言ったんです。
ボクは正直、むかっとして「めんどくさいな~自分で入れろよ」って思いながら、冬やったけど冷えたお茶をグラスに入れて、テーブルにそーっとではなく、荒々しくガンって置いたんです。
そしたら親父は「なんやその置き方は!コップが割れるやろう!」
って言ってボクは反発して「それやったら自分で入れたらええやんけ~」って「なんやその口の聞き方は!」って言い争いがたえなかったんです。
その後、ボクは三重を出て東京に出て田端さんという師匠に出会って教えられたのが
『頼まれ事は試され事』やぞってことだったんです。
なにかを頼まれたらそれは試されているんや!だから、相手の予想を上回ってこいつすげーっていうことぐらいやってやれ!
そしたら、こいつすげーーーって可愛がられる!
そんなことを徹底的に教えられて、実践してたんです。
四年ぶりに家に帰った冬の事です。
コタツに入ってテレビを見てて、トイレに行こうと思って立ち上がったらあの時の同じように親父が
「文昭、立ったついでにちゃーくんでくれ」って言った訳ですよ。
そしたら、ボクは思ったんですよ。
「お父さん、試してますね~」って。
そこで予想を上回ろうって思ってお茶を沸かして湯のみに入れて
「父ちゃん、熱いから火傷せんように飲んでや」ってそーっとテーブルにのせたんですわ。
そしたら、親父はちょっと照れくさそうに「ありがとう」って言ってくれたんです。
それから、親父はボクの夢や思いを否定せんようになって、逆に応援してくれるようになったんです。
出来事は四年前と同じです。
ボクが立った時に親父が立ったついでにお茶をくんでくれって言ったんです。
それを、めんどくさいと思いながら入れるか、親父がどうやったら喜ぶかを考えて行動に移したかだけなんです。
それだでけで、反対派が賛成派に変わったんです。
引用:中村文昭
お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!
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