100歳になっても脳を元気に動かす習慣術

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ある集まりで、まもなく百歳を迎えるというのに矍鑠(かくしゃく)として、とくに頭の柔軟さは、一回りも二回りも若い私たちも敵(かな)わないという大先輩に、その秘訣を尋ねました。

するとその大先輩は、

「やはりボケないためには、教養と教育がなくちゃいけない」

と言います。

この答えを聞いて、私は正直言って意外だったので、こう反論しました。

「でも大先輩、お言葉を返すようですが、けっこういい大学を出て、本もたくさん読み、教養も教育も十分あったはずの人が、ボケちゃったという話をよく聞きますよ」

するとその大先輩はこう言ったのです。

「ダメだなあ、君たちは。そんなことだから早くボケるんだよ。あのね、キョウヨウっていうのはね、教養じゃなくて、今日、用があること、キョウイクとは教育ではなく、今日行くところがあるってことなんだよ。キミらもね、今日用事がない、今日行くところがない、となったらボケるしかないんだよ」

これには、居並ぶそうそうたるメンバーも、完全に一本取られ、その場は大爆笑の渦に包まれました。

たしかに、これほどボケないための頭の使い方を、巧みに表現した言葉はめったにないでしょう。

しかし、私は、その言葉の意味合いもさることながら、彼のこの「人を食った表現のしかた、笑いの渦に人を巻き込むその頭の使い方」こそが、若々しい頭脳の秘密ではないかと思ったのです。

長寿者といえば、あの百七歳と百八歳まで生きた双子の姉妹、きんさんぎんさんの周囲にも、いつも笑いが絶えませんでした。

一番有名なのは、人気者になって出演料などがはいるようになったとき、「お金を何に使いますか」と聞かれ、二人揃って「老後の蓄えにします」と答えていたことです。

そして、この愛すべき百歳姉妹が、いろいろなところでその長寿の秘密を聞かれたときの「金さん銀さん語録」として伝わっているもののうち、最初の二つが「笑い」に関するものだったのです。

全部で十四ヵ条ありますが、そのうちのいくつか紹介させていただきます。

①よくしゃべり、よく笑うこと。これも長生きの秘訣だと思うにゃ。

②笑う門には福来る、そういうじゃろ。犬や猿は笑わん。

③感謝を忘れたら、人間はだめになる。ああ、有難や、有難や。

④悲しいことは、考えんほうがええ。楽しいことを夢みることだよ。

⑤人間、大事なのは気力。自分から何かをする意欲を持つことだね。

こうして見ると、きんさんぎんさんにしても、やはり生来の明るさ活発さという性格的なもの以上に、日ごろの「笑い」を大切にする生き方が、これだけの長寿、とくに頭の長寿を保てた重要な理由の一つだったと思うのです。

引用:多胡輝 著
『100歳になっても脳を元気に動かす習慣術』日文新書