松下幸之助「失敗の考え方」

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松下幸之助
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自信というのは、生きる上で非常に大切なものですな。

第一そうしたものがなければ、生きていてもこんなに頼りないことはない。

もっとも、自信を持ちすぎるのも困りものですがね…。

ぼくも、自信をなくすという経験は何度となくしてますわ。

悲観して、どうにも困りはて、夜も眠れんというようなこともありましたよ、実際は。

しかしね、その翌朝になると、もうすっかり考え方というか発想が変わってましたな。

昨夜悲観した材料をもとに、これはこう考えよう、あれはああしようというように、建設的な考え方が心に浮かんでくる。

禍(わざわい)転じて福となすというか、いわばそういう発想ですね。

それが自然にできたのですよ。

だから、自信をなくしたとはいうものの、そのつぎの瞬間には、どうすればそれを解決できるか、そのことをもう懸命に考えていたということですな。

幸いそういうことができたので、今日までやってこれたのではないでしょうか。

それができたのは、ぼくが持って生まれた性格というのもあるでしょうが、やはり体験の中から自然に身についたものでしょうね。

百の事を行って、一つだけ成ったとしたら、たいていの人は事の成らない九十九に自信をなくし、もう再びその事を試みなくなるでしょうな。

そうなれば、まさに失敗ですわ。

しかし、よく考えれば百が百とも失敗したわけではない。

たとえ一つでも事が成っているということは、他の九十九にも成る可能性があるということですね。

そう考えれば勇気が出てきましょう。

そして、事の成った一つをなおざりにしないで、それを貴重な足がかりに、自信を持って九十九にいどむことができる。

そうなれば、もはや成功したのと同然ですよ。

よい面を見て自信を持つか、悪い面を見て自信をなくすか、それによって人生は大きく変わってくるのではないでしょうか。

『すべてがうまくいく』PHP研究所