やなせたかし氏「この世界で大切な3つの漢字」

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画像:https://www.1101.com

この世界は「運・鈍・根」なんです。

ですから「運」がよくなくっちゃいけない。

そしてあんまり器用に、何でも簡単にできるっていうんじゃなく、いくらか「鈍」であって。

それからあと大事なのは、「根」。

つまり、根気よくやらなくっちゃいけない。

それがあれば、どんな人でも、ある程度のところまでいけるんです。

満員電車に乗っていても、いずれ席は空く。

自分の座る席が必ずどこかに空くんで、その時、座ればいいんです。

「運」は、自分でつかまなくちゃいけない。

このつかむということは、例えば漫画を描いているとすれば、仕事がこなくても、絶えず描いていなくちゃいけないんです。

そうしないと、運は巡ってきません。

やめてしまえば、そこで終わり。

必ず続けていなくちゃいけない。

すると、何かしら運というのはやってくるんです。

その時に、パッとつかむんです。

ただ、つかむためには、自分がやり続けていないといけない。

あるバレエの評論家が、「やなせさん、私はこの頃仕事がすっかりなくなって、いったいどうすればいいでしょう」って聞いてきた。

僕は「それはねえ、あなたにとって、とてもいいんじゃないですか。いま、時間がたくさんあるでしょう。それを一生懸命やればいいんですよ」と言ったんです。

それから二年くらい経って、その人に会ったんです。

「やなせさん、ありがとうございました。じつは言われた通り、私は仕事じゃなしに、やり残していたバレエの研究を始めたんです」って言うの。

すると、その研究をやっているうちに、仕事がどんどんくるようになったって。

そういうもんなんですね。

つまり、やっている人のところには、なぜかくるんだ。

何もしてない人のところにはきません。

困ったと言っているだけじゃ、何も始まらない。

絶えず、自分がやっていないとダメなんです。

どんな状況になっても、やり続ける。

その場を楽しむように。

それと根気なんだよね。

やっぱり、根気がないとダメなんだ。

僕はもっと若い頃に世に出たかったんです。

ただ遅く出てきた人というのは、いきなりダメにはなりません。

こんなことをしていていいのかと思っていたことが、みんな勉強になり、役に立っていく。

人生にムダなことなんて一つもないんですよ。

引用:やなせたかし著
『何のために生まれてきたの?』PHP研究所