【逸話】ひびわれ壺「2人のインド人の生き方」

banner02
画像:http://free-photos.gatag.net/

インドのある水汲み人足は2つの壺を持っていました。

天秤棒の両端にそれぞれの壺を下げ、彼は水を運びます。

片方の壺には、ひびが入っていました。

完璧な壺が小川からご主人様の家まで一滴の水もこぼさないのに対し、

ひび割れ壺はいっぱいまで水を汲んでもらっても家に着く頃には半分になってしまいます。

完璧な壺は、いつも自分を誇りに思っていました。

なぜなら、彼は本来の目的を常に達成することができたからです。

ひび割れ壺は、いつも自分を恥じていました。

なぜなら、彼はいつも半分しか達成することができなかったからです。

二年が過ぎ、すっかり惨めになっていたひび割れ壺は、
ある日川のほとりで水汲み人足に話しかけました。

「私は自分が恥ずかしい。そして、あなたにすまないと思っている。」

「なぜそんな風に思うの?何を恥じているの?」水汲み人足は言いました。

「この二年間、私はあなたのご主人様の家まで水を半分しか運べなかった。

水が漏れてしまうから、あなたがどんなに努力をしてもその努力が報われることがない。

私はそれが辛いんだ。」壺は言いました。

水汲み人足は、ひび割れ壺を気の毒に思い、そして言いました。

「これからご主人様の家に帰る途中、道ばたに咲いているきれいな花を見てごらん。」

てんびん棒にぶら下げられて丘を登って行く時、ひび割れ壺は、お日様に照らされ美しく咲き誇る道ばたの花に気づきました。

花は本当に美しく、壺はちょっと元気になった気がしましたが、ご主人様の家に着く頃にはまた水を半分漏らしてしまった自分を恥じて、水汲み人足に謝りました。

すると彼は言ったのです。

「道ばたの花に気づいたかい?花が、君の通る側にしか咲いていないのに気づいたかい?

僕は君からこぼれ落ちる水に気づいて、君が通る側に花の種をまいたんだ。

そして君は毎日、僕たちが小川から帰る時に水をまいてくれた。

この二年間、僕はご主人様の食卓に花を欠かしたことがない。

君があるがままの君じゃなかったら、ご主人様はこの美しい花で家を飾ることはできなかったんだよ。」

引用:「ひびわれ壺–子育て中の親、かつて子どもだったすべての大人へ」
菅原裕子 著
二見書房