
「驚く力」は、仕事はもちろん、読書や映画鑑賞、あるいは子育てや家事、ご近所づきあいまで、僕らが生きる日常のあらゆる場面で応用することができます。
ただ僕は、その中でもとりわけ学校の先生や、会社で部下を率いている人、あるいは子育て中の親御さんといった、人を教育し、導く立場にある人に、この「驚く力」のことを知り、考え、活用してもらいたいと考えています。
例えばよく「ほめて伸ばす教育」ということが言われます。
でも、「ほめてあげる」という姿勢には、「ほめる人」の感動が感じられません。
上から目線でで、心が動かされて感じがありませんよね。
一方、本当に上手に人をほめる人というのは、必ず非情に豊かな「驚く力」を持っています。
というのも、ほめる人が驚いているかどうかは、子供や生徒など、教えられる立場の人に必ず伝わっているからです。
そして、ほめる側の心に「驚き」が伴ったときの「ほめ」には、そうでないときの何倍もの力が宿る。
つまり、「驚き」には、人を導く力があるんです。
子供や生徒が何かをできるようになったときに、「え!こんなことができるのか!」と素直に驚くということ。
子供や生徒の中に、自分たちが想像もしなかった何かの存在を認め、それを自分の中に取り入れて「すごい!こんな可能性もあったのか!」と驚くということ。
そういう「驚く力」にあふれた人の「ほめ」には、人を動かす力があります。
学ぶ人にも、学ぶ人を導く人にも、「驚く力」は欠かせない資質だと思います。
驚きのない学びに力がないのと同じように、驚きのない「ほめ」は、決して人を動かしません。
「驚く力」を大切にして、自分がまだ知らない何かを発見していることを楽しむということ。
その姿勢が学びを深め、情熱を育むのです。
『驚く力』夜間飛行
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