
[魔法の小石]
ある晩、遊牧民の群れが夜を過ごすための支度をしていると、
突然あたりが厳かな光に包まれました。
聖なる方がともにおられるのを人々は感じました。
大きな期待を胸に、天の声が下るのを待ちました。
何かとても大切なお告げがあるのだろう、と思ったからです。
ついに、声が聞こえてきました。
「できるだけたくさんの小石を拾いなさい。
その小石を袋に入れ、一日旅をするがよい。
明日の夜になって、お前たちは喜び、また悲しむであろう。」
聖なる方がその場を去ると、人々は失望と怒りを口にしました。
大いなる宇宙の真理について啓示が下ることを期待していたからでした。
富と健康が授けられ、人生の目的が解き明かされると思ったのです。
ところが与えられたのは、小石を拾うというつまらない、
彼らにとってはわけのわからない作業だけでした。
しかし、人々はぶつぶつ言いながら、いくつかの小石を拾って袋に入れました。
聖なる方の神々しさが、まだあたりに残っていたからでした。
人々は一日旅をし、夜になりました。
野営を張りながら小石のことを思いだし、袋から取り出してみました。
すると、どの小石もひとつ残らずダイヤモンドになっていたではありませんか!
人々は小石がダイヤモンドに変わったことを喜び、
もっと小石を拾ってこなかったことを悲しみました。
引用:「こころのチキンスープ2」
ダイヤモンド社
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