
人生に起こる出会いや出来事は、一見、何の脈絡もなく、私たちがたまたまそこに居合わせただけのように見えます。
しかし、出会いや出来事の全体を夜空の星々のように眺めていると、無関係に思えた1つ1つが1本の糸でつながり、そこに星座が浮かび上がってくることがあります。
私たちの意図や計画とは無縁に見えた日々の集積が、人生の星座を現そうとするのです。
もし、人生の法則を知っているなら、さらにそれを見つけやすくなるはずです。
映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏は、かつてインタビューでこんなことを言っています。
「自分は映画の可能性を求めてその都度その都度、まったく異なるスタイルでやってきた。
でも今、振り返ってみると、そこには1つのテーマがあることがわかってきた。
それは、引き裂かれた家族が再び結び合うというものだ。
ようやく今になって自分のことが少しわかってきたところだ」
アップルの創業者の故スティーブ・ジョブズ氏も、晩年、スタンフォード大学の卒業生へのスピーチの中でこう語っています。
――学生時代、養父母の蓄えを自分の学費に費やしたくないという理由で大学を退学したものの、そのまま大学内にとどまり、友人たちの寮の部屋に泊めてもらいながら、純粋に自分の興味関心にしたがって授業に出席し、楽しんだ。
その中に、将来何の実用性もあるとは思えなかったカリグラフィー(西洋の文字芸術)の授業もあった。
しかし、10年後、マッキントッシュというコンピュータをつくったとき、それが蘇ってきた。
その結果、世界で初めて複数の書体を持ち、文字を美しく表示し、印刷できる最初のコンピュータが生まれたのだ。
もし、自分が大学を中退していなかったら、カリグラフィーの授業を受けていなかっただろう。
そして、パソコンは現在のように素晴らしい文字表示機能、印刷機能を備えることはなかったかもしれない。――
そして、ジョブズ氏はこう言うのです。
「先を見通して点をつなぐことはできない。
振り返ってつなぐことしかできない。
だから、将来何らかの形で点がつながると信じなければならない」
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あなたがそこで生きる理由
高橋佳子 著
三宝出版
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