
「派手で美しいプレーを見せようと思ったら、地道な練習を死ぬほどしないと。
基本があれば、1を100にだってできるんだから。
基本がない選手は、いつか消えていくでしょう」
練習でいちばん時間を割いているのは、最も地味な対面パスだ。
「ふたり一組になって、パスを出し合う練習。
何度も何度も繰り返すこと。これが重要です」
しかし、何も考えないで蹴るだけでは、進歩はない。
「足のどの部分で、どれくらいの力で蹴ると、どういうパスになるのか、頭の中にインプットしながら蹴らなきゃ駄目。
球質や緩急など、イメージしたボールと同じボールを蹴れるまでパスを繰り返す。
そうやって練習して、ある程度ちゃんとボールが蹴れるようになると、いちいちボールに視線を落とさなくてもパスを出せるようになる」
実際、彼はチームでもこの基本練習に多くの時間を費やす。
同じ相手と何度も何度もパスを交わしている。
見ている者が飽きてしまうほどの単調なボールのやり取りに、一瞬たりとも気を抜く気配がない。
「この基本技術が、一瞬のチャンスをものにするよね」
引用:中田英寿 著
「中田語録」
文藝春秋より
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