
誤解されがちなのは、リーダーらしさが必要といっても、入試問題の正解のように、ただ一つの「正しいリーダー像」があるわけではないということです。
むしろ、人の数だけリーダーらしさがあると言ったほうがいいかもしれません。
自分のアイデンティティ、自分が拠り所とする価値観を自分でしっかり認識できている人は、自然とそれが態度に表れます。
たとえば、他人に優しくしたいと思っている人は、人と接したときに、自然と柔和な表情になり、親しみのこもったしぐさで、相手の心を開かせます。
責任感の強い人は、自分の発言に責任を持ち、言ったことは必ず守ろうと努力します。
どれが正しいということではなく、どれもその人らしいリーダーシップのあり方です。
ところが、なかには、何を大事にするかという自分の価値観がはっきりしない人がいます。
そういう人はたいてい、言っていることとやっていることが一致せず、周囲の人を混乱させます。
言行一致こそ、周囲の人から信頼を得るための第一歩なのです。
リーダーは、自分がこうありたいという姿と、自分の言動を普段から一致させるように気をつける必要があります。
そうでないと、相手を不安にさせてしまいます。
「怒っていない」と口では言いながら明らかにムッとしているとか、「あなたには期待しています」と言いながら相手の目を見ていないとか、そういう一つひとつの態度が、メンバーの信頼を失っていくのです。
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0秒リーダーシップ
ピョートル・フェリークス・グジバチ 著
すばる舎
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