
何かをしたいという強い願望があっても、
社会的もしくは経済的制約のために実現できないことはいくらもある。
類いまれな才能の活路を閉ざされていた期間の長さでは、
アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスの右にでるものはいないだろう。
彼女は、ニューヨーク州北部の農場に生まれ、
幼い頃には、絵を描くのに目に映る色はすべて混ぜ合わさずにいられず、
そうした色を出すのにイチゴとブドウのジュースを混ぜ合わせたりしてほどだった。
しかし、農場の暮らしは忙しく、
絵を描く機会などまったくないまま年月が経ち、
60年間絵筆を持つことはなかった。
ところが、78歳になってやっと農場の仕事から身を引き、
自らの才能を解き放つ贅沢をしたを自分にゆるしたところ、
一気に頂点まで登りつめた。
それまで封じていた子どものころの記憶を呼び覚まし、
死ぬまでの23年間に何千点もの風景画を描いた。
個展も15回も開き、画家「グランマ・モーゼス」として世界中に親しまれたのである。
~~~
出典
[さあ、才能に目覚めよう]
マーカス バッキンガム,ドナルド・O.クリフトン 著
日本経済新聞社 より
![]() |