
僕は「失敗しても、必ずしも挽回する必要はない」「簡単に挽回できなくて当たり前」だと考えています。
なぜなら、人間は失敗する生き物だから、失敗するたびに「挽回しなくては」と考えてばかりいると、やがて失敗することが怖くなり、身動きが取れなくなってしまいます。
(中略)
失敗すること自体には、なんの問題もありません。
失敗も勉強になるので、そこから何かを学び取ればいいのです。
これを、“喜怒哀楽の総量”という視点で考えてみましょう。
恋人ができた場合、その喜びは100ポイントのプラスになったとします。
でも、不幸にして振られてしまった場合、今度はマイナス100ポイントに相当しそうです。
つまりプラスマイナスゼロ。
恋人がいたという事実は、振られてしまったとたん、価値がなくなってしまうのです。
でも、僕はそうは考えません。
その経験を絶対値で捉え、恋人ができたのも、振られたのも100ポイント。
合計すると経験値が200ポイント上がったと考えるのです。
つまり、喜怒哀楽の総量として、人生を捉えるようにしています。
マイナスだと思われがちな経験も、「経験した」ことに違いはありません。
経験しなかった人よりも、確実に知識が増え、物事を判断するときの材料になるでしょう。
失敗も成功も、すべての経験から人は学び、賢くなることができるのです。
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本物の思考力
出口 治明 著
小学館新書
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