
星の王子さまは地球上に何千本と植えられているバラの中に、
自分が星に残して来たのと同じ花を見つけることができなかった。
いぶかる王子にキツネが言う。
「君があのバラの花をたいせつに思うのは、
そのために無駄な時間を使ったからだよ」
面倒に思いながらも水をやり、
虫を取り、
風よけを作ってやった時間は、
いつしか、
王子とバラの花との間に愛情を育てていた。
お金にならない時間、
得にならない時間、
その意味で無駄な時間の中にしか愛情は育たないのだ。
スピード至上、インスタント万能の世の中に、
待つことのたいせつさ、
無駄な時間の価値を説くこと自体、
時代おくれ、見当違いだと言われるかもしれない。
しかしながら、待たないですむ人生などありはしないのだ。
そうだとしたら、待つことの意味も知らなければならない。
引用:信じる愛を持っていますか
渡辺和子 著
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