武士道といふは死ぬことと見つけたり

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武士 いいため話
画像:http://nihonshi.hatenablog.com

武士道といふは死ぬことと見つけたり。

この部分を戦前の日本の軍部は教科書にして小学生に配り、戦場で死ぬことを理想とするよう求めました。

葉隠の真意は違います。

ここには重大な言葉が省かれているのです。

「死ぬこと」の前に、「誰のために」が省かれています。

侍の本来の世界では、ここに「君主のために」が必ず入っていなければなりません。

すなわち「君主のために死ぬこと」が武士道のはずなのです。

ところが葉隠はあえて、それを入れなかった。

なぜか。

「君主でなくてもいい。自分以外の他の誰かのために死ぬことが、武士道だ」という考えがあったからです。

この一節は、死ぬことを語っているのではなく、「生きよ。人のために生きよ」と言っているのです。

「もしも自分のことばかり考えて生きていれば、どれほどうまくやっても、あるいは栄達しても、やがて必ず死ぬのだから人生はつまらない、空しい。

しかし、自分以外の人のために生きるのなら、命が次に繋がっていくのだから、空しくない。

生きよ、人のために生きよ」。

それが日本の武士道のほんとうの根幹精神です。

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ぼくらの哲学

青山 繁晴 著

飛鳥新社