
ある日たまたまテレビを見ていると、狂言師の野村萬斎さんと、フィギアスケーターの羽生結弦さんが対談されていました。
羽生さんが野村さんの主演した映画『陰陽師』のテーマ曲を使って陰陽師になりきって演技するということで、アドバイスを受けていたのです。
そこで興味深かったのは、狂言では観客の逆を突く動きが大事だという話です。
たとえば、手をある方向に向けておいて、実際にはそれと反対の方向に飛ぶというのです。
たしかにそれだと観客にとっては虚を衝かれたような形になります。
そしてそれゆえに美を感じるのです。
ここが不思議なところで、逆向きに動くからこそ心を打たれるわけです。
逆の美とでも称しましょうか。
そのとき私はある種の確信を抱きました。
逆には人を惹きつける魅力があると。
それは単に正に対置される対立的な存在ではなく、逆にこそ物事を成り立たしめる真理が宿っているのです。
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成功する人はみんな≪逆≫に考える
小川 仁志 著
ぱる出版
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