
何かをはじめるかどうか決めるとき、それがいかに簡単にできるかによって判断することが多い。
しかし、この判断には問題がある。
もしそれが簡単にできることなら、やる価値はあまりないからだ。
たとえば、ブログをはじめるのは簡単だが、それじたいは大したことではない。
だが、毎日欠かさず書いて、4100もの投稿を続けることは簡単ではない。
それは可能だけれど誰もやらないことであり、だからこそ、やる価値がある。
成功している企業が求めているのは、この「可能だけれど誰もやらないこと」である。
「アマゾン」が巨大書店チェーンの構想を思いついたとき、アナリストたちはそれを無謀だと笑った。
しかし、それはまさに「可能だけれど誰もやらないこと」だった。
もちろん、粘り強さと才覚、そしてちょっとした運は必要だが。
一方、人はときに不可能なことを求める。
「グーグル」を超える検索エンジンを構築することは不可能である(もしその目的が市場を独占することなら)。
不可能なプロジェクトを行うのが楽しいのは、成功した場合にどうなるかを心配する必要がないからだ。
ただ不可能な夢を見ているだけである以上、そこには何の不安も危険もない。
だが、「可能だが誰もやらないこと」には実現の余地がある。
簡単なことは無視して、あえてこの分野にチャレンジしよう。
『セス・ゴーディンの出し抜く力』(神田昌典監訳)三笠書房
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