
本当にこれは日本人の習性なのかと思えるほど、日常生活のさまざまな場面で「少々お待ちください」という言葉を聞きます。
ファミリーレストランで「お水のおかわりください」と依頼しても、「少々お待ちください」。
役所の受付で「〇〇届をください」とお願いしても、「少々お待ちください」。
お店で買い物をして「ラッピングをお願いします」と依頼しても、「少々お待ちください」。
言い慣れている、聞き慣れていると言ってしまえばそれまでですが、逆に言えば、「すぐにお持ちします」「すぐお手続きいたします」「すぐご用意いたします」という第一声を発するだけで、相手に対する心づかいを表すことができるのです。
「待つ」は本来、その後に出てくる言葉のはずです。
「すぐにお手続きいたします。お掛けになってお待ちください」
「すぐにご用意いたします。そちらでお待ちください」
もし、何らかの理由があって、本当にお待たせしなければならないときは、相手にはどの程度の時間をお待ちいただくか、誠意をもって伝えればいいのです。
むしろ、「少々お待ちください」と言ったのに、その「少々」が1分なのか10分なのかがわからなければ、相手の時間を奪ってしまうことになります。
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“心づかい”の極意
江上いずみ 著
ディスカヴァーより
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