葛飾北斎「誇りを持つ」とはこういうこと

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誇り いいため話
画像:http://gahag.net/

私が北斎で一番好きなエピソードは、シーボルト事件で有名なオランダの医師シーボルトが北斎に二巻の絵を依頼した話です。

契約は一五〇金でしたが、北斎が絵を仕上げて納めに行くと、「七五金にしてくれ」と言われます。

北斎は「最初に七五金と言えば、彩色を変えて仕上げることができた」と怒ります。

シーボルトは「それなら一巻だけ買う」と言いますが、北斎は「売らない」と言って持ち帰ります。

ちなみに当時の北斎は金がなく、苦しい生活をしていました。

当時一緒に住んでいた妻は、「この絵は他では売れない。半値でも売らなければ、また貧乏が続く」と非難します。

でも北斎はこう言いました。

「貧乏するのはわかっている。自分も金がほしい。しかしもし半値で売れば、外国人に、日本人は人を見て値段を変えると思われる」

まさに北斎こそ芸術家の誇りを持つ男であり、同時に日本人としての矜持を持つ男でした。

ちなみにこれを伝え聞いた長崎商館長は、一五〇金を払って、北斎の絵を買い受けました。

この後、長崎からは北斎に絵の注文が何枚もあり、それらはオランダに輸出されました。

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雑談力

百田尚樹 著

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