
落ち込んでいるときには、他人の励ましがうるさく感じられることがあります。
あなたもそうだと思います。
「元気出して!」とか「気にしないでいいのよ」と言われると、それはそれで嬉しいのですが、笑顔を浮かべて「わかった」とか「ありがとう」と返事をしてもすぐにまた落ち込んでしまいます。
でも、同じ励ましでもほんとうに親しい人や心を許せる人の言葉なら違います。
少しは元気になれるのです。
これは、その人があなたのことをよく知っているからですね。
あなたの性格や、落ち込んでいる原因も知っているし、あなたがどれくらい傷ついているのかも想像できるからです。
たとえばほんとうにつらいときには、何事もなかったようにつき合ってくれたり、そっとしておいてくれるのがそういう人たちです。
そういう人たちの励ましや気遣いは、ジワーッと効いてきます。
自分から、「うん、いつまでもクヨクヨしてちゃダメだ」という気持ちになってきます。
「こんなにわたしのことを心配してくれる人がいるんだもの」と気がつくからです。
結局、わたしたちが元気になれるのは、自分のことをよく知っている人が味方になってくれたときなのです。
そうだとすれば、いちばん頼りになるのは自分です。
自分が自分の味方になって、「ほら、元気出そうよ」と声をかけてくれる。
「いつまでも落ち込んでいると、みんなが心配しちゃうぞ」と励ましてくれる。
そういう自分がいるから、わたしたちは気持ちを切り替えることができるのです。
他人の励ましも立ち直りのきっかけにはなりますが、最後に自分を立ち上がらせてくれるのは、自分という強い味方なのです。
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自分だけはいつも「自分の味方」
和田秀樹 著
新講社ワイド新書より
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